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映画『攻殻機動隊』にみる文明論:電脳空間orリアル・人体orサイボーグ

 
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元ITエンジニア。やんちゃが過ぎてRSELeaksをハッキングし一時サイトをダウンさせるも、それをキッカケに宇宙海賊団と接触。船長Master.響のアナザフロンティア構想に感銘を受け、逆に諭されてしまう。 "ぬくもり"を知ってしまった今は「AIのシンギュラリティ」もやだし「ゲノム編集」なんてもっての外だ!!と心を入れ替えた中二病天才ハッカー。 今までPCしか触って来なかった指先が、人体端末ヒューマンタブレットと言うとてつもないユニバーサルデザインに触れた時、もはやPCなどのIT技術が時代遅れだと気づく。 一人でも多くこの事に気づいてもらいたくRSELeaks執筆活動も任される。

◎ ボディフィギュアタイプ
「なで丸太」の隠れ「フジサン」型

 

〜 攻殻機動隊 〜

こんにちは、ピー助です。

今回は映画マトリックスにも影響を与えたというSF作品『攻殻機動隊』。その電子の世界が着々と近づいているという話をしたいと思います。

攻殻機動隊は1989年のネットすらまだ普及していない時代に作られた

攻殻機動隊は今から29年前、1989に士郎正宗によって描かれた漫画で、そこから派生して様々な映画・アニメが作られた作品です。

独特の世界観や哲学思想、政治や組織などの話が前面に出るなど、大人向けのアニメとして独自の地位を築きました。

映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は本当に大好きな映画で、私がこの映画に出会ったのは大学生1年の頃、確か2004年です。

当時は映画から派生したTVシリーズが終わったタイミングでTVの第2シーズンが始まるか?というときでした。

この頃はスマホもまだ出てきていない頃で、iPodを持って音楽を聴くのがオシャレな時代でした。もちろん人工知能という言葉も一般に認知されていない時でした。

そして、2004年僕はこの作品に出会ってから、主人公の素子が言うように『さぁ、何をしようかしら。ネットは広大だわ』という言葉に触発され『電子の世界』にどっぷりと入り込む事になりました。また、大学の進路も人工知能専攻に変える事になり、タチコマを作るんだという気持ちすらあった事を覚えています。無知でした。

もちろん世間的にもかなり影響を与えており、テレビシリーズが3作品・アニメ映画が4作品、実写映画1作品も作られており、その他のサイバーパンク映画にも影響を与えています。

また、総務省(NICT)や内閣サイバーセキュリティセンターとのコラボ企画などもあり、情報セキュリティという観点でも注目されるなど多方面なとも展開があります。

 

NICTによるセキュティの可視化

 

リアルな未来を描く攻殻機動隊

攻殻機動隊の世界は、ちょっと先の未来を出来るだけリアルに表現している事が注目すべき点です。

映画公開当時の1995年には人工知能やロボット人間のロボット化などはとても先の事のように考えられていました。やっとインターネットが一般に普及し出した頃です。ちょうどマイクロソフトがWindows95を発表して家庭にPCが普及し出しました。

“企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなる程情報化されていない近未来”

そんな時代の日本が舞台です。

当時は想像できませんでしたが、今は大分と近づいていると思います。

多国籍企業によるネット空間はいまや世界中に張り巡らされ2018年現在、世界のネット普及率は53、約40億人にも及びます。

そして、携帯・スマホのユーザーは約51億人で総人口の68です。

ネットは基本的には大陸間の海底光ファイバーケーブルの敷設が重要で、主要な海底ケーブル事業社には、NTTKDDI、ソフトバンクを始め、AmazonGooglefacebookを始めとした多国籍企業が名前を連ねています。

海底ケーブルMap “企業のネットが星を被う”

https://maps.esri.com/rc/cable/index.html

電子や光が地球の表面に今も絶えず行き交っています。

この記事があなたの端末で表示できるのも、電子や光を受信しているから・・・

肉体を機械に置き換えた『全身義体化技術 ( ぜんしんぎたいかぎじゅつ )』

攻殻機動隊の世界は、そんな今を少し進めた先にあります。人間の体を所々機械化させるサイボーグ技術、更には脳と脊髄以外を全て機械に置き換える全身義体化技術です。

主人公の草薙素子はそんな、全身義体化をした1人で、公安9課という、荒事専門の警察の上位組織に属し、対テロや凶悪犯罪に対抗します。

脳と機械を接続した電子の世界『 電脳空間 (でんのうくうかん) : Cyber-space』

世界はまだまだ全身義体をする人は少ないながらも、脳と機械をダイレクトリンクさせるのは一般的になり、人体は高度に情報化され、脳内で無線通信(電脳通信)や外部記憶、各種Webシステムと高度に連携し、通常の人ではなし得なかった情報処理を行う描写があります。

その脳とネットワークの空間を電脳空間と呼び、リアル世界と並行して存在し、TVシリーズでは広大な空間として描写がなされています。

まだまだ2018年現在一般には浸透していませんが、アメリカのDARPAが脳に電極を指して、ロボットアームを動かす実験をしていますし

テスラ・モーターズやスペースX社の社長であり起業家のイーロン・マスクはNeuralink(ニューラリンク)という会社で、人工知能とヒトとの融合を模索しており、もはやフィクションでは無くなってきました。

ニューラルリンク社は脳と機械(人工知能)を接続することを、『ブレイン・マシン・インターフェース』と呼び人間の思考を直接コンピュータへ送信しすることで

人工知能の力を最大限に利用することで人間の処理能力を高める

ことを目指している。

そのほかにも、マイクロソフトの未来の技術予想として、AR技術での情報処理ビジョンを発表するなど、実現は近いと感じます。

人のように動くロボット技術

またロボット技術もボストンダイナミクス社の人型ロボットアトラスでは、バク宙をやってのけるなど、義体化技術に役立ちそうな進化が止まりません。

人間に接続するロボットアーム:筋電義手

義体とはいきませんが、義手や義足も進化しています。

「 筋電義手 (きんでんぎしゅ)というもので、脳から腕へ行く信号を利用して直接義手を操る物があります。脳波は個体差があり、その脳波のパターンを最新の人工知能技術で学習する事で、最適な命令へと変換するというもの。

なお、義手データは有志がオープンソースとして公開しています。

http://exiii-hackberry.com

心の壁は『攻勢防壁 ( こうせいぼうへき ) 』で

電脳空間で個々を隔てるのは防壁と呼ばれるファイアーウォールのようなものです。

「ファイアーウォール:防火壁」とはネット空間からハッキングを防ぐため壁のようなもので、特定の悪意ある動きをする通信を遮断するものです。

攻殻機動隊の世界では、脳とネットが密に融合しているため、ハックされると容易に記憶を改竄されたり操られてしまうため、個々の脳の入り口にはファイアーウォール(防壁)が構築されています。またこの防壁はただの侵入を防ぐ防御だけでなく、攻性防壁( こうせいぼうへき )と呼ばれる侵入者の脳を逆に焼き切る攻撃的な壁が設置されるのが主となっています。

現実で例えると、世界中の人が正当防衛のために拳銃を携帯しているようなもので、人と人との距離は益々遠ざかっており、自由と便利さの代償としてはとても悲しい世界になっています。

実際現実でもLINEに代表されるようなスマートフォンのメッセージアプリにより、自由にリアルタイムに他人とメッセージを交わせるようになりましたが、人と人との関係性は近くなるばかりか、個人を尊重するあまり、逆に遠ざかっている気さえします。

スマホ登場以前はもっと暗黙的な情報伝達が重視されており、頻繁に連絡を交わさなくてもわかっていた部分が、スマホによる直接できな連絡手段へと置き換わったことで、相手の顔や雰囲気を察知してコミュニケーションをとるのではなく、端末に書かれた文章に対してコミュニケーションをとるような、ある種ドライな対話になりました。

そもそも私なんてものは・・・

そんな便利さを追求し情報処理技術や身体能力まで高め超人となった主人公の素子は、それでも悩みます。

 

「私みたいに完全に義体化したサイボーグならだれでも考えるわ。もしかしたら自分はとっくの昔に死んじゃってて、今の自分は電脳と義体によって構成された模擬人格なんじゃないかって。いえ、そもそも私なんてものは存在しなかったんじゃないかって。」

「お前のチタンの頭蓋骨の中には脳みそもあるし、ちゃんと人間扱いだってされてるじゃねえか。」

「自分の脳を見た人間なんていやしないわ。所詮は周囲の状況で私らしきものがあると判断しているだけ。」

「自分のゴーストが信じられないのか。」

「もし電脳それ自体がゴーストを生み出し、魂を宿すとしたら、何を根拠に自分を信じればいいと思う?」

機械となり生身の体を捨て去ったために、存在の置き場所がどこかわからず、自分は実は偽の生命体なのでは無いかと自身の存在を危ぶみます。

哲学者のデカルトは「我思う、故に我あり」と言って存在の証明としましたが、高度に電子化された世界では「我思う」が既に機械が考えているのか、人間が考えているのか怪しいと言うことであり、それではなんの存在証明にもなっていないということです。

「人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには驚くほど多くのものが必要なの。

他人を隔てるための顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる手、幼かったころの記憶、未来の予感。

それだけじゃないわ。私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり。

それら全てが私の一部であり、私という意識そのものを生み出し、そして同時に私をある限界に制約し続ける。」

素子は自分を自分たらしめるものは記憶ではないのかと考えます。

ただその記憶(記録)すらも改ざん可能で人格を変えられてしまう世界の中で、自己問答は尽きません。

機械化による緩やかな死

機械化された人体の弊害も見え隠れします。

OSやハードウェにはバージョンアップがつきものとで古い規格を利用することはそれだけで悪です。Windows2000WindowsXPを利用しようものなら即座にコンピュータウイルスに犯され、iPhone3Gでは最新のアプリは利用できません。最新のWindows10iPhoneXの利用を企業は求めます。

それは新しいものこそ正義であり、便利さを追求した資本主義社会では避けえないことです。

しかし、それが人体の一部である義体にも適応された時、とても悲しい事が起こります。

素子「戦闘隊員としてどんなに優秀でも、同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も、特殊化の果てにあるのは緩やかな死よ。」

素子「代謝の制御、知覚の鋭敏化、運動能力や反射の飛躍的な向上、情報処理の高速化と拡大、電脳と義体によって、より高度な能力を獲得を追求したあげく最高度なメンテナンス無しには生存できなくなったとしても文句を言う筋合いじゃないわ」

素子「確かに退職する権利は認めるられてるわ。この義体と記憶の一部を謹んで政府にお返しすればね」

つまり生身の体を捨てた時、内的秩序によって自動的に修復していた人体のもつ機能を捨て去り、高度なメンテナンスを余儀なくされる生活に切り替わります。

ケガやガンなどの病気からは無縁になるでしょう。そして、おそらく政府の推進で、健康診断のように定期的なメンテナンスが義務化され、義体化のバージョンアップや修理は保険適用されることになる思います。

しかし、それは完全に体すら国家や企業に奪われたということに他なりません。

自分の体すら自分の物ではなくなってしまった少佐(素子)は既に諦めてしまっています。

電脳化しないという道

攻殻機動隊で出てくる面々はほぼ全員、電脳化しています。老人も機械に繋がれています。

しかし、本当に全員が全員電脳化したのでしょうか?

多分違いますよね。

そう、カラダという1兆円あっても買えない、唯一無二の肉体を手放さず、人間として生きている人は攻殻機動隊の世界でもいるはずです。

素子が私の存在に悩むように、体という一人一人に与えられた唯一ユニークなものを捨て去るのは愚かであると気づいた者たちはきっと居ると思います。

それが人体賛美者

けれども、それはとてもキツい道であるでしょう。

今や全ての社会システムがスマホを前提に提供されているために、スマホを持たない人はほとんど居ません。同じように、全ての社会システムが電脳化を前提に提供されているとしたら?電脳化は避けにくいです。少なくともマイクロチップは入れますよね。

だから、生身の体を貫くというのは、ある意味で社会から見捨てられる事を意味します。

道具による進化と人の進化を同一化した文明とは別の、全く異なる価値観・文明を創らなくてはいけません。

人としての記憶を取り戻す旅路。

人という形を保ったまま人として生きる世界線(社会インフラの再構築)を見つける必要があります。

でも、希望もあります。実は知性は脳だけではないという研究結果が出ているからです。

人体 の神秘の巨大ネットワークがあり、“臓器たち”も実は会話しているというのです。

触覚静電気フィラメント、触覚の知性、ある種の「勘」・「テレパス」・「量子のもつれ」、生身の体でなくてはできない触覚のコミュニケーションが義体化とは別の道へと繋がっています。

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊の最後で、ネットから生まれた超知性である”人形使い”と会話を交わします。

人形使い「コンピュータの進化が記憶の外部化を許した時。あなた方はその意味をもっと真剣に考えるべきだった。」

まだ間に合う。手遅れにならないようにしたいものです。

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